// 散る桜の木の下で・・・

  
    

  



   散る桜の木の下で・・・ 




  内気なその女 ひと が恋をしたのは
  二十才のときでした


  文学が好きなその青年は

  桜をとても愛していました

  ふたりはいつも

  城跡のある町の桜の木の下で会いました

  生まれてはじめての幸せな恋でした

  地味な着物でそっと逢いにゆく恋でした

  二年の月日が流れたころ

  別れは突然やってきました
  戦地に赴く青年を涙で
遠くから見送りました



  待っても待っても便りは届きませんでした
  南の島の激戦で散っていったと

  風の便りに聞きました

  あの桜の下でまた会う固い約束

  何度の春を数えたことでしょう

  白い髪のおばあさんが
  城跡の陽だまりで
  誰かとお話しながら

  散る桜の花びらを数えている


    と・・・


               
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// 桜 咲 く 罪

  
  


  桜 咲 く 罪  


  桜咲く罪 罪が舞う
 
  桜咲く罪 罪が降る


  彷徨う女は罪の色 さすらう男と罪な夜
  ふたり並んで罪に酔う 三日三晩罪に酔う


  桜咲く罪 罪が舞う
  桜咲く罪 罪が降る

  桜 
いろ は 現 うつつ か まぼろしか
  神よこの罪 許し給え 
   

  散りゆく桜は罪の色 
  妖しき一夜
ひとよ を 罪が舞う

  散りゆく桜に身を委ね 
ふたりは並んで目を閉じる
  桜咲く罪 罪の色 現世を染めて罪が舞う

  あなたと私の罪の色 

  今宵 織りなす 罪な夜

  桜は 現か まぼろしか 神よこの罪 許し給え

  あなたと私の罪の色 今宵 織りなす 罪な夜
  桜色は 現か まぼろしか 神よこの罪 許し給え



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// 桜 (さくらまい) 舞




   さくらまい    



かすみか 雲か 匂いぞ いずる

ああ さくら さくら

桜 
さくらまい 舞

熱き胸 躍らせて 恋人 あなた の もとへ

ひととき 夢の中


ひとひら 恋 ひらら

少女の髪に 舞い降りる



目覚めて流る ひとすじ涙

ひととき 夢の中

ひとひら 恋 ひらら

舞い散る 舞い散る 黒髪に はらり




この恋は美しすぎて はかない恋と知ってか 桜

この恋は美しすぎて 危うい恋と知ってか 桜

さくら さくら 桜 舞



時よ 止まって

静かに 止まって

このまま このまま 夢に酔わせて



ほの よ 永遠 とわ に 永遠に

祈り 祈りつ くちづける



ああ さくら さくら 舞い散る 舞い散る

桜  
さくらまい 舞






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